北名古屋市 矢澤法律事務所

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離職理由と失業給付

 会社を退職するにあたり,自己都合退職と会社都合退職の区分がよく用いられます。自己都合退職の場合は,失業給付の受給までに3か月の給付制限期間があり,会社都合退職の場合はその給付制限期間がない,ということは一般的にもよく知られていることだと思います。

より正確には,退職理由に関わらず雇用保険法21条に基づく7日間の待期期間がありますが,「被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」にはさらに1か月から3か月間の給付制限期間があるということになります(雇用保険法33条1項)。

 なお,離職理由については離職票に事業者が離職理由を記載しますが,離職者の方でも事業者の記載する離職理由に異議があるかないかを記載することになります。そして,異議がある場合には,「公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つてするものとする」もとのされています(雇用保険法33条2項)。

 これと似ていますが,離職者が特定受給資格者(雇用保険法23条2項,雇用保険法施工規則34~36条)や特定理由離職者(雇用保険法13条3項,雇用保険法施工規則19条の2)に該当すると,一般受給資格者とは異なる扱いを受けることになります。具体的には,基本手当を受給するための雇用保険の加入期間(雇用保険法13条1項,2項),基本手当の給付日数(雇用保険法23条1項 附則4条)といった点で違いが生じます。

 

正当な理由のある自己都合退職であるかどうかについての厚生労働大臣の定める基準(厚労省HPより)

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0627-7c.pdf

 

特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(厚労省HPより)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000042710.pdf

 

雇用保険法

(基本手当の受給資格)

第十三条  基本手当は、被保険者が失業した場合において、離職の日以前二年間(当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を二年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間)。第十七条第一項において「算定対象期間」という。)に、次条の規定による被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、この款の定めるところにより、支給する。

2  特定理由離職者及び第二十三条第二項各号のいずれかに該当する者(前項の規定により基本手当の支給を受けることができる資格を有することとなる者を除く。)に対する前項の規定の適用については、同項中「二年間」とあるのは「一年間」と、「二年に」とあるのは「一年に」と、「十二箇月」とあるのは「六箇月」とする。

3  前項の特定理由離職者とは、離職した者のうち、第二十三条第二項各号のいずれかに該当する者以外の者であつて、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいう。

(待期)

第二十一条  基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して七日に満たない間は、支給しない。

 

第二十三条  特定受給資格者(前条第三項に規定する算定基礎期間(以下この条において単に「算定基礎期間」という。)が一年(第三号から第五号までに掲げる特定受給資格者にあつては、五年)以上のものに限る。)に係る所定給付日数は、前条第一項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる当該特定受給資格者の区分に応じ、当該各号に定める日数とする。

(略)

2  前項の特定受給資格者とは、次の各号のいずれかに該当する受給資格者(前条第二項に規定する受給資格者を除く。)をいう。

一  当該基本手当の受給資格に係る離職が、その者を雇用していた事業主の事業について発生した倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てその他厚生労働省令で定める事由に該当する事態をいう。第五十七条第二項第一号において同じ。)又は当該事業主の適用事業の縮小若しくは廃止に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの

二  前号に定めるもののほか、解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。第五十七条第二項第二号において同じ。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者

 

第三十三条  被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わつた日後の期間については、この限りでない。

2  受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つてするものとする。

 

附則

(基本手当の支給に関する暫定措置)

第四条  第十三条第三項に規定する特定理由離職者(厚生労働省令で定める者に限る。)であつて、受給資格に係る離職の日が平成二十一年三月三十一日から平成二十九年三月三十一日までの間であるものに係る基本手当の支給については、当該受給資格者(第二十二条第二項に規定する受給資格者を除く。)を第二十三条第二項に規定する特定受給資格者とみなして第二十条、第二十二条及び第二十三条第一項の規定を適用する。

 

雇用保険法施行規則

(法第十三条第三項 の厚生労働省令で定める者)

第十九条の二  法第十三条第三項 の厚生労働省令で定める者は、次のいずれかの理由により離職した者とする。

一  期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)

二  法第三十三条第一項 の正当な理由

 

(法第二十三条第二項第一号 の厚生労働省令で定める事由)

第三十四条  法第二十三条第二項第一号 の厚生労働省令で定める事由は、手形交換所において、その手形交換所で手形交換を行つている金融機関が金融取引を停止する原因となる事実についての公表がこれらの金融機関に対してされることとする。

 

(法第二十三条第二項第一号 の厚生労働省令で定めるもの)

第三十五条  法第二十三条第二項第一号 の厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。

一  倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立て又は前条の事実をいう。)に伴い離職した者

二  事業所において、雇用対策法 (昭和四十一年法律第百三十二号)第二十七条第一項 の規定による離職に係る大量の雇用変動の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。以下この条において同じ。)の数を三で除して得た数を超える被保険者が離職したため離職した者

三  事業所の廃止(当該事業所の事業活動が停止し、再開する見込みがない場合を含み、事業の期間が予定されている事業において当該期間が終了したことによるものを除く。)に伴い離職した者

四  事業所の移転により、通勤することが困難となつたため離職した者

 

(法第二十三条第二項第二号 の厚生労働省令で定める理由)

第三十六条  法第二十三条第二項第二号 の厚生労働省令で定める理由は、次のとおりとする。

一  解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。)

二  労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したこと。

三  賃金(退職手当を除く。)の額を三で除して得た額を上回る額が支払期日までに支払われなかつた月が引き続き二箇月以上又は離職の日の属する月の前六月のうちいずれか三箇月以上となつたこと。

四  次のいずれかに予期し得ず該当することとなつたこと。

イ 離職の日の属する月以後六月のうちいずれかの月に支払われる賃金(最低賃金法 (昭和三十四年法律第百三十七号)第二条第三号 に規定する賃金(同法第四条第三項第一号 及び第二号 に掲げる賃金並びに歩合によつて支払われる賃金を除く。)をいう。以下この号において同じ。)の額が当該月の前六月のうちいずれかの月の賃金の額に百分の八十五を乗じて得た額を下回ると見込まれることとなつたこと。

ロ 離職の日の属する月の六月前から離職した日の属する月までのいずれかの月の賃金の額が当該月の前六月のうちいずれかの月の賃金の額に百分の八十五を乗じて得た額を下回つたこと。

五  次のいずれかに該当することとなつたこと。

イ 離職の日の属する月の前六月のうちいずれか連続した三箇月以上の期間において労働基準法第三十六条第一項 の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成十年労働省告示第百五十四号)(当該受給資格者が、育児・介護休業法第十七条第一項 の小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であつて同項 各号のいずれにも該当しないものである場合にあつては同項 、育児・介護休業法第十八条第一項 の要介護状態にある対象家族を介護する労働者であつて同項 において準用する育児・介護休業法第十七条第一項 各号のいずれにも該当しないものである場合にあつては同項 )に規定する時間を超える時間外労働が行われたこと。

ロ 離職の日の属する月の前六月のうちいずれかの月において一月当たり百時間を超える時間外労働が行われたこと。

ハ 離職の日の属する月の前六月のうちいずれか連続した二箇月以上の期間の時間外労働時間を平均し一月当たり八十時間を超える時間外労働が行われたこと。

ニ 事業主が危険又は健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険又は健康障害を防止するために必要な措置を講じなかつたこと。

六  事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行つていないこと。

七  期間の定めのある労働契約の更新により三年以上引き続き雇用されるに至つた場合において当該労働契約が更新されないこととなつたこと。

七の二  期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなつたこと。

八  事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたこと。

九  事業主から退職するよう勧奨を受けたこと。

十  事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き三箇月以上となつたこと。

十一  事業所の業務が法令に違反したこと。

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