相続人の1人が遺産を使い込んでいたと疑われる場合,他の相続人にはこれを調査する方法があるでしょうか。一つの有力な手段は,弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会により,被相続人名義の銀行預金の取引履歴の開示を求めることです。
かつては,被相続人の預金口座の取引履歴について回答を拒否する金融機関が少なくなかったのですが,最判H21.1.22が,共同相続人の1人による被相続人名義の預金口座の取引経過の開示請求権を明確に認めたため,回答拒否例は少なくなっています。
弁護士法
第二十三条の二 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。